先天性骨髄性ポルフィリン症

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タイトル別名
  • Congenital Erythropoietic Porphyria.

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抄録

54歳の男性。先天性骨髄性ポルフィリン症の症例を報告した。両親はいとこ結婚。8歳頃より顔·手など露出部に水疱·糜爛·潰瘍·瘢痕形成を繰り返すようになり, また赤色尿も出現した。その後, 露出部の色素沈着·色素脱失, 多毛, 皮膚脆弱化が顕著となり, また, 耳介·手指末梢の変形, 眼球強膜病変も伴ってきた。神経症状·腹部症状の既往はないが, 数年前より軽度肝機能障害を指摘されていた。これまで特に加療されていなかったが, 半年前より皮疹の出現頻度が増加したため受診した。検査にて血中·尿中·便中ポルフィリン体の異常高値を認め, 特に尿中·便中コプロポルフィリンは大部分がI型異性体であった。軽度脾腫はみられたが, 検査上溶血性貧血はみられなかった。肝生検の結果, 軽度炎症所見はみられたが, ポルフィリン体の沈着は明らかではなかった。入院後安静および遮光により, 皮疹と肝機能は徐々に改善した。その後シメチジン投与を試みたがポルフィリン値, 皮膚症状とも特に変化は見られなかった。現在, 遮光および機械的刺激を避けるよう留意し経過観察中である。なお患者の家族に同症は見られなかった。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 61 (2), 163-167, 1999

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (18)*注記

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