-
- 天谷 雅行
- 慶應大学医学部皮膚科
書誌事項
- タイトル別名
-
- Desmoglein, the target molecule in autoimmunity and infection
この論文をさがす
抄録
デスモゾームは様々な組織の複雑な構築の形成,維持に重要な役割をしている.デスモゾームの膜構成蛋白として,カドヘリン型の細胞間接着因子デスモグレイン(Dsg)がある.Dsgは,4種のアイソフォームの存在が知られ,自己免疫,感染症,そして遺伝性疾患の標的蛋白あるいは原因遺伝子となっていることが明らかとなった.皮膚・粘膜に水疱,びらんを生じる天疱瘡は,Dsg1とDsg3に対するIgG自己抗体により生じる自己免疫性疾患である.近年,天疱瘡の一部の患者では,Dsg1/Dsg4交叉自己抗体が存在することも明らかにされた.ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)あるいは水疱性膿痂疹を起こす黄色ブドウ球菌産生外毒素(ET)は,Dsg1を特異的に切断するセリンプロテアーゼである.そして,SSSS罹患後に低いながらも抗Dsg1 IgG自己抗体の産生が確認された.DSG1遺伝子に変異があると線状掌蹠角化症となり,DSG4遺伝子に変異がある先天性貧毛症となる.なぜ,これだけ多くの皮膚疾患がDsgを標的としているのか明らかでない.しかし,Dsgを鍵として,感染症との接点から自己免疫の発症機序が解明されることが期待される.<br>
収録刊行物
-
- 日本臨床免疫学会会誌
-
日本臨床免疫学会会誌 29 (5), 325-333, 2006
日本臨床免疫学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282679625713792
-
- NII論文ID
- 10019269312
-
- NII書誌ID
- AN00357971
-
- ISSN
- 13497413
- 09114300
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可