事業所の定期健康診断問診票におけるメンタルヘルス質問項目の分析

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タイトル別名
  • Analysis of questionnaires on employees' mental health used in regular medical examinations
  • ジギョウショ ノ テイキ ケンコウ シンダン モンシンヒョウ ニ オケル メンタルヘルス シツモン コウモク ノ ブンセキ

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抄録

目的 定期健康診断の問診情報であるメンタルヘルスに関する問診票の内容とその活用の実態を明らかにする。<br/>方法 北海道内の101か所の事業所を対象に,現在使用しているメンタルヘルス問診票の使用状況について自記式調査票による郵送調査を行った(1 次調査)。2004年10月に実施し,71件の回答を得た(回収率70.3%)。次に,健康診断問診票の質問項目の内容を検討するために,北海道内の 9 事業所に勤務する職員434人を対象に,自記式調査票による郵送調査を2004年12月に行った。調査票の内容は,1 次調査で得られた 4 か所の事業所のメンタルヘルス問診票の質問項目と日本語版 NIOSH 職業性ストレス調査票の 6 つの尺度(抑うつ,職務満足感,身体的自覚症状,量的労働負荷,認知的要求,グループ内対人葛藤)である。327人を解析対象とし,4 つの問診票のそれぞれの質問項目と NIOSH 職業性ストレス調査票の各尺度との相関係数を求め,その関連を検討した。<br/>結果 健康診断で問診票を使用していた事業所は,解析対象となった70か所のうち25か所(35.7%)で,そのうち21か所(84.0%)は事業所で独自に作成した問診票であった。質問項目の検討のために使用した 4 つの問診票のうち,A 問診票(23項目)は,抑うつ尺度の得点と 9 項目,身体的自覚症状と14項目,職務満足感と 1 項目で中等度の相関(r≧0.4)があった。B 問診票(9 項目)は,抑うつと 6 項目,身体的自覚症状と 4 項目で中等度の相関があった。C 問診票(1 項目)は,抑うつ,身体的自覚症状,量的労働負荷の 3 つの尺度と中等度の相関があった。D 問診票(1 項目)は,中等度の相関はなかったが,抑うつ尺度との関連が一番強かった(r=0.38)。A 問診票を除く 3 つの問診票は,職務満足感と中等度の相関のある項目はなかった。また,4 つの問診票は何れも職場のストレッサーである認知的要求,グループ内対人葛藤と中等度の相関のある項目はなかった。<br/>結論 現在使用されているメンタルヘルス問診票は事業所独自で作成したものが多かった。使用されている問診票はストレス反応については良く反映しているが,仕事の量的負荷や精神的負荷および対人葛藤などの職業性ストレスについては十分反映されていなかった。

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参考文献 (22)*注記

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