PTPの誤飲による大腸穿孔の1例

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  • A Case of Perforation of the Colon Caused by a Press Through Package

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抄録

症例は78歳の女性。持続する左下腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した。理学的所見上, 発熱, 腹痛は軽度であったが, 腹部CTでS状結腸から上部直腸周囲に炎症所見を認めたため, 経過観察目的に入院となった。入院後の大腸内視鏡検査では同部位にシート状異物を認め, さらに, 翌日の腹部CTでS状結腸周囲に腹水と腹腔内遊離ガスがみられたことより, 異物による大腸穿孔を疑い, 緊急手術を施行した。上部直腸からS状結腸周囲には多数の膿苔と限局性の混濁した腹水がみられた。さらに, S状結腸右壁に便汁の流出する小穿孔部を認め, 同部を切除しHartmann術を施行した。切除標本では, PTP (press through package) の角が腸粘膜を損傷し潰瘍を形成しており, 一定の時間的経過を経て穿孔を起こしたものと思われた。近年, PTP誤飲の報告は増加しているが, 大腸穿孔例は極めて少ない。誤飲の自覚がなく, 術前診断困難例が多いことより, 高齢者における穿孔性腹膜炎の一因として念頭に置くべきであると思われた。

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参考文献 (12)*注記

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