数年間にわたり腸閉塞を繰り返した大網裂孔ヘルニアの1例

  • 高橋 聡
    新潟県立吉田病院外科 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学
  • 田宮 洋一
    新潟県立吉田病院外科

書誌事項

タイトル別名
  • A CASE OF TRANSOMENTAL HERNIA SUFFERED FROM RECURRENT ILEUS FOR SEVERAL YEARS

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抄録

大網裂孔ヘルニアは内ヘルニアの中でも比較的稀な疾患で術前診断が困難であることが知られている. 数年間にわたり腸閉塞症状を繰り返した大網裂孔ヘルニアの症例を経験したので報告する. 症例は86歳, 女性. 数年前より常に下腹部の腫瘤を自覚し, 年数回の腸閉塞症状を認めていた. 今回, 腹痛・嘔吐を主訴に当院を受診, 腸閉塞の診断で入院した. 腹部は膨隆しており下腹部に腫瘤を触知したが, 画像検査で原因疾患を特定できなかった. イレウス管を留置したが症状は改善せず, 手術を施行した. 大網尾側の異常裂孔に空腸が30cm嵌入しており, 大網裂孔ヘルニアと診断した. 嵌頓を解除し, 異常裂孔を切開, 開放した. 腸切除は行わなかった. 術後約2年間の経過観察で下腹部の腫瘤および腸閉塞症状を認めていない. 大網裂孔ヘルニアは約40%の症例で腸管壊死をきたすため, 開腹歴のない腸閉塞に際しては本症を念頭におき適切な治療を速やかに選択することが重要である.

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参考文献 (21)*注記

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