睡眠障害と睡眠覚醒調節  2  酸化ストレスと睡眠

  • 池田 昌美
    富山大学大学院理工学研究部(理学)生命融合教育部
  • 池田 真行
    富山大学大学院理工学研究部(理学)生命融合教育部

書誌事項

タイトル別名
  • Oxidative stress and sleep homeostasis
  • 酸化ストレスと睡眠
  • サンカ ストレス ト スイミン

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抄録

酸化ストレスの除去は,脳機能維持のために不可欠である.そのストレス除去にあたり,スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)やグルタチンペルオキシダーゼ(GPX)は,主要な抗酸化酵素として働いている.興味深いことに,実験動物の睡眠を妨げると,脳内のSOD活性や還元型グルタチオン(GPX基質)量が減少し,酸化型グルタチオン(抗酸化反応物)量が増加するという.つまり,覚醒の持続は,脳内の酸化ストレスレベルを上昇させる作用があるようだ.われわれは,t-ブチルヒドロペルオキシドを用いて,ラット脳に酸化ストレスを負荷したところ,睡眠量の増加と,視索前野/前視床下部におけるアデノシンや一酸化窒素遊離を観察した.この結果は,ある程度の酸化ストレスには睡眠物質遊離や眠気を促進する効果があることを示している.つまり,覚醒が脳内に酸化ストレスを生み,これをトリガーにして睡眠という脳保護活動が誘発される可能性が示唆された.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 129 (6), 404-407, 2007

    公益社団法人 日本薬理学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (9)*注記

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