小腸疾患の新たな診断法―診断と治療における小腸内視鏡の進歩と意義―V.原因不明の消化管出血の診断

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  • Enteroscopic Diagnosis of Gastrointestinal Bleeding of Obscure Origin

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抄録

上部・下部消化管に明らかな出血源のない原因不明の消化管出血 (OGIB) は, 小腸内視鏡検査法の適応として頻度が高い臨床徴候である. OGIBにおけるカプセル内視鏡検査 (VCE) の所見陽性率は40%から60%で, その所見として欧米では血管性病変が最も多い. これに対して, 本邦の多施設研究では潰瘍・びらんの頻度が血管性病変よりも高かったことが報告されている. 一方, OGIBにおけるダブルバルーン内視鏡検査 (DBE) の所見陽性率は50%から80%で, さらに本法により治療も可能である. したがって, DBEはOGIBにおいて極めて有用な検査法と考えられる. OGIBの診断においてVCEは従来のX線検査やプッシュ式内視鏡よりも有用な検査法であることが多くの臨床研究で証明されている. 一方, VCEとDBEの比較では前者で所見陽性率がやや高い傾向がみられている. 以上のことからOGIBにおいてVCEとDBEは相補的な役割を担うと考えられる.

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