療養型病床群1施設における心肺蘇生および急性期病院への転院に関する家族の希望

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タイトル別名
  • Decision-making factors regarding resuscitate and hospitalize orders by families of elderly persons on admission to a Japanese long-term care hospital
  • リョウヨウガタ ビョウショウグン 1 シセツ ニ オケル シンハイ ソセイ オヨビ キュウセイキ ビョウイン エノ テンイン ニ カンスル カゾク ノ キボウ

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抄録

背景:高齢者施設での看取りが増加することが予想されており,入院·入所時に,心肺蘇生や急性期病院への転院·搬送など終末期状態に陥った際にどのような対応を希望するか高齢者および家族を交えて話し合っておくことは重要である.諸外国ではアドバンスディレクティブAdvance directives(AD)と呼ばれる終末期ケアに関する方針を記録する書式が普及しており,その中で心肺蘇生や病院への搬送を希望しないなどの指示などがある.しかし,わが国においては,終末期における自己決定のあり方に関する調査はほとんどない.そこで,心肺蘇生や急性期病院への搬送に関する自己決定が困難である患者の家族が表明する希望とそれに関連する因子を明らかにすることを目的として本調査を実施した.方法:対象は,平成17年4月から平成18年9月までに愛知県内の療養型病床群1施設に新規に入院した全患者70人である.この療養型病床群は,入院時に医師が患者·家族にADの作成を支援している.調査内容は,患者の特徴,心肺蘇生と急性期病院への搬送·転院の希望の有無であった.心肺蘇生および急性期病院への搬送·転院の希望と関連する患者の特徴を明らかにするため,心肺蘇生の希望がある群(CPR+群)とそうでない群(CPR-群)とで,患者の特徴を比較検討した.また,急性期病院への搬送·転院の希望についても同様に比較検討した.成績:対象者のほとんどが重度の要介護状態であり,対象者全員のADは家族によって作成されていた.心肺蘇生の希望を持っていた家族は全体の約16%で,急性期病院への転院の希望を持っていた家族は全体の約37%であった.いずれの希望においても,年齢,性別,世帯構成,既往歴,要介護度,栄養摂取法,意識障害の有無など対象者の特徴には両群間で有意差はみられなかったが,ADの作成を支援した医師の割合は両群間で有意に異なっていた.結論:医師による説明を標準化する必要性が示唆され,家族や医療者に終末期ケアに関する議論を行う際の指針や教育が必要であると考える.<br>

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