におい刺激に対する感覚強度に及ぼす認知的要因の影響:短時間・断続的に提示されるにおい刺激に対して

  • 小林 剛史
    文京学院大学人間学部 (独)産業技術総合研究所人間福祉医工学研究部門
  • 小早川 達
    (独)産業技術総合研究所人間福祉医工学研究部門
  • 秋山 幸代
    (独)産業技術総合研究所人間福祉医工学研究部門 国立スポーツ科学センタースポーツ科学研究部
  • 戸田 英樹
    (独)産業技術総合研究所人間福祉医工学研究部門
  • 斉藤 幸子
    (独)産業技術総合研究所人間福祉医工学研究部門 斉藤幸子味覚嗅覚研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Cognitive effects on perceived intensity under intermittent presentation of short-duration odor
  • ニオイ シゲキ ニ タイスル カンカク キョウド ニ オヨボス ニンチテキ ヨウイン ノ エイキョウ タンジカン ダンゾクテキ ニ テイジサレル ニオイ シゲキ ニ タイシテ

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抄録

我々は,においの知覚におよぼす認知的要因の効果について検討している.先の研究1)において,ある同一のにおい刺激に対して異なる教示(ポジティブおよびネガティブ教示)を与えた場合,同一の実験参加者が両方の教示条件を経験する実験計画だと(被験者内計画),順序効果(学習要因)が有意で,教示による感覚強度の差は有意ではないことを報告した.そこで本研究では,実験参加者が一方の教示(ポジティブあるいはネガティブ教示)のみ経験する実験計画(被験者間計画)のもとで教示の効果を検討した.装置はKobal式オルファクトメーターを使用した.実験参加者は,実験で使用されるにおい刺激(アネトール)に関する説明(ポジティブ,ネガティブな内容のいずれか)を受け,その後におい刺激が断続的に計60回呼吸非同期で鼻腔に提示される間,リアルタイムに強度評定を行った.15回のにおい刺激提示を1セッションとし,計4セッション行い,1セッション終了毎に3分間の休憩を挿入した.におい刺激は14.8秒ごとに200ミリ秒提示した.その結果,ネガティブな教示を受けた参加者は,ポジティブな教示を受けた参加者と比べて有意に高い感覚強度を示した.さらに,ポジティブ教示群は第3,4セッションでは感覚強度が低下したが,ネガティブ教示群では高いまま維持された.以上のように,被験者間計画のもとで短時間のにおい刺激を断続的に提示した場合,感覚強度に対する教示の影響(認知的要因の効果)が顕著に見られるという結果を得た.

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被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (20)*注記

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