中学生の将来の自己喫煙予想と家庭環境および健康行動との関連

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タイトル別名
  • Family influences on future smoking habits among junior high school students in Japan
  • チュウガクセイ ノ ショウライ ノ ジコ キツエン ヨソウ ト カテイ カンキョウ オヨビ ケンコウ コウドウ トノ カンレン

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抄録

目的 平均寿命に差のある 2 市の中学生において,将来の自己の喫煙予想を家族の喫煙習慣や嫌煙経験,健康行動,ライフスタイルとの関連から検討すること。<br/>方法 2005年 1 月,青森県 A 市,長野県 B 市のすべての公立中学 2 年生を対象に,無記名自記式の質問紙調査票を授業中に配布,回収した。回収票は各399票,447票,欠席者を除き回収率100%。B 市の平均寿命は A 市よりも男性で4.2歳,女性で2.9歳長い。質問項目は,将来の自己喫煙予想,嫌煙経験,家族および母親の喫煙習慣,運動習慣,平均睡眠時間,食生活行動。将来の自己喫煙予想と家族の喫煙習慣,健康行動との関連を性別,市別に分析した。統計的検討には χ2 検定を用いた。<br/>結果 男子は,将来の自己喫煙予想率(A 市18.7%,B 市10.3%),家族の喫煙習慣率(A 市71.2%,B 市59.9%),母親の喫煙習慣率(A 市31.6%,B 市12.0%)のいずれも A 市の方が高率で,嫌煙経験率(A 市72.7%,B 市84.7%)で低率であった。女子は,家族の喫煙習慣率(A 市75.5%,B 市59.6%)で A 市が高率であった以外に地域差はなかった。2 市ともに女子では母親に喫煙習慣がある人は将来の自己喫煙予想率が高かった。B 市の女子以外では嫌煙経験がある人の方が将来の自己喫煙予想率は低かった。健康行動との関連は,朝食の欠食状況別には統計的には有意な傾向がなかったが,コンビニエンスストアの食品とインスタントラーメンは,B 市男子で利用頻度の高い中学生の方が将来の自己喫煙予想率が高かった。平均睡眠時間は,B 市女子で 6 時間未満の中学生の方が将来の自己喫煙予想率が高かった。<br/>結論 平均寿命に差のある 2 市を比べたところ,男子では中学生の段階ですでに将来の自己喫煙予想率に開きがあり,平均寿命の短い A 市の方が高率であった。家族の喫煙習慣率も A 市の方が高く,嫌煙経験や母親の喫煙習慣と中学生の将来の自己喫煙予想との関連はいずれの市においても共通した傾向がみられた。中学生の喫煙対策は,本人の喫煙行動のみではなく,家庭環境や地域の社会背景をも考慮して検討することが有用である。

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