急性期に持続血液濾過透析を施行した超高齢偶発性低体温症の1例

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  • Usefulness of Continuous Hemodiafiltration in an Acute Phase of Accidental Hypothermia of a Very Old Patient

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抄録

症例 : 93歳の男性。主訴 : 意識障害。現病歴 : 妻と二人暮し。妻が外出より帰宅時, 庭で倒れているところを発見され救急車にて救急外来に搬送された。当時の外気温は摂氏約10℃で, 約4時間程度外界にさらされていたと考えられた。来院時現症 : JCS-200, 末梢冷感著明, 血圧80/-mmHg, 脈拍60/min不整, 心電図モニター上心房細動と, 多発する心室性期外収縮を認め, 腋窩温は測定不能であった。血液検査上, 炎症反応, 脱水による腎機能障害, およびpH 7.056と著明な代謝性アシドーシスを認めた。頭部CTでは頭蓋内出血を認めなかった。不整脈を伴う重症低体温状態と判断し, 中心加温法として中心静脈への急速加温輸液を開始した。これに引き続き, 著明なアシドーシスもあることより, 持続血液濾過透析continuous hemodiafiltration (以下CHDFと略す) を来院約2時間後より開始した。CHDF開始1時間後にはpH 7.231まで改善し呼名に対し開眼がみられ, 2時間30分後には体温32℃まで上昇, 発語がみられるようになった。血圧は徐々に上昇し, CHDF開始7時間後より利尿がみられた。翌日にはCK 4,270U/lまで上昇し横紋筋融解症と考えられた。CHDF継続によりアシドーシスは改善し, 尿量も増加した。またCKは漸減し急性腎不全を回避できた。CHDFは開始後33時間で離脱し, 第4病日にICUを退室した。結語 : 著明なアシドーシスを伴った超高齢の重症低体温症に対して, 横紋筋融解症および急性腎不全の治療を念頭に置いた, 早期からのCHDFによる中心加温法はきわめて有効であると考えられた。

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参考文献 (16)*注記

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