無歯顎者の「タ」, 「キ」, 「ラ」発音時のパラトグラムの画像解析

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  • Palatograms of Edentulous Subjects Analyzed with an Image Processor during [ta], [ki], and [ra] Pronunciation

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抄録

本研究の目的は, 「タ」, 「キ」, 「ラ」発音時に無歯顎者の無歯顎の状態と全部床義歯を装着した状態での口蓋および上顎歯槽部, または上顎義歯に対する舌の接触パターン (パラトグラム) を比較することである.被験者は, 無歯顎者で「タ」, 「キ」発音時10名 (男性3名, 女性7名), 「ラ」発音時6名 (男性2名, 女性4名) である.無歯顎時と義歯装着時に口蓋ならびに上顎歯槽部を覆う黒色の特殊塩化ビニールシート製の人工口蓋板を製作し, 表面に白色アルジネート印象材の粉末を散布した後, 口腔内に装着した.被験音を発音させ, ただちに記録板を取り出すと, 舌の接触部位の粉末が湿って, 記録板が透過し黒色となりわかる.画像解析装置 (LUZEX®Fニレコ社製) 上で, 各被験者の無歯顎時 (E) と義歯装着時 (D) に採得したそれぞれ5回の同一被験音の60%以上共通範囲を抽出し, その個人の平均パターンとした.さらに各個人の平均パターンを義歯の人工歯列を基準点として標準歯列の模式図上へ変換して標準化し, 全被験者のパターンを累積して重ね合わせた.同一音を累積したパラトグラムから70%以上の被験者の共通範囲を抽出し, 無歯顎時と義歯装着時の代表パターンとした、その結果, 無歯顎時 (E) と義歯装着時 (D) での接触様式を比較すると「タ」, 「キ」発音時では, 無歯顎時 (E) は義歯装着時 (D) に比して舌接触範囲が広かった.特に「キ」では有意差が認められた (Studentt-test, P<0.05).「ラ」では逆に, 無歯顎時 (E) は義歯装着時 (D) より舌接触範囲が狭かった.舌接触範囲を第1小臼歯の前後に分けてみると, 「タ」, 「キ」ともに前方では義歯装着時 (D) より無歯顎時 (E) の方が小さいが, 後方では義歯装着時 (D) より無歯顎時 (E) の方が大きかった.

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参考文献 (21)*注記

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