口唇裂口蓋裂児をもつ母親の産科入院中の状況

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タイトル別名
  • Investigation on Situation Regarding Mothers of Cleft Lip and/or Palate Babies During the Obstetrics Hospitalization after Delivery

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抄録

本研究は,口唇裂口蓋裂児と母親に対し,口唇裂口蓋裂治療を専門とする医療者が,よりよいケアの提供を行うことを目的に,産科入院中の母親の状況について調査を行った.調査対象は,本院口唇裂口蓋裂専門外来受診時の患児に同伴した母親145人であり,以下の結果を得た.<BR>1.出産前に口唇裂口蓋裂についての知識を持っていない母親は44.8%,情報提供を受けた母親も6.8%とわずかであった.<BR>2.出産直後,患児と対面できた母親は53.1%であった.<BR>3.産科医からの具体的な病状説明を出産2日目以降に受けた母親は31.7%であった.また,治療専門医からの病状説明を受けた母親は8.3%と非常に少なかった.<BR>4,直接授乳指導を受けていない母親は30.3%,退院時の療育指導や親の会などの情報提供を受けていない母親は7割前後と,入院中のケアや指導も不充分であった.<BR>5.産科入院中に医療者から受けた対応に関して,母親の3割が不満足と考えていた.口唇裂口蓋裂治療を専門とする医療者は,産科領域でのケアに満足していない母親が多くいることを認識し,初診時には,(1) 病状に対する詳細な説明,(2) 授乳指導,(3) 長期療育に向けた養育指導,(4) 療育生活を支えるための情報提供(育成医療制度・「親の会」紹介・保健師の訪問指導)を行う必要がある.また,チーム医療の中に臨床心理士などの配置を行い,母親の心理的ケアを継続することが今後求められる.

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参考文献 (13)*注記

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