徳島都市圏における大型店の立地展開

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  • A Study of the Expansion of Large Scale Stores in Tokushima Urban Area

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抄録

I はじめに<br> 1973年の大店法の成立,1991年の緩和,そして2000年の廃止および大店立地法の施行などを背景に,ここ数十年,日本における大型店の出店動向が注目されている.大型店の出店が地域に与える影響は,地方都市圏において特に強いとされる.地方都市の郊外では広い土地の取得が比較的容易であり,バイパス道路などのインフラも整備されつつあるため,大型店が出店しやすい状況にある.また,地方では大都市に比べ自動車保有台数が多く,自動車を利用した買物行動が多い.そのため,消費者は中心商店街よりも,大規模な駐車場を併設した郊外の大型店を指向する傾向にある.このように,近年の地方都市圏における大型店の急速な立地展開は,企業と行政,そして消費者それぞれの状況が一致した結果であるといえよう.<br> しかし2006年に,大型店の郊外への出店を規制する改正都市計画法が成立した.これは,今までの大型店の立地展開を根本から覆そうとするものである.日本における大型店の歴史に大きな変化が起きようとしている現在,今後の日本における大型店の立地展開について議論する上で,大型店の影響が大きな地方都市圏における大型店の立地動向を明らかにする必要があろう.そこで本研究では,大店立地法の規制対象である売場面積1,000m2以上の小売店舗を「大型店」とし,地方都市圏における大型店の立地展開を明らかにすることを目的とする.<br><br>II 研究対象地域と研究方法<br> 本研究における対象地域は,徳島都市圏(徳島市とその隣接市町村)する.1970年以降,ほぼ毎年大型店の出店があり,2000年以降には売場面積が3,000m2を越える大型店の出店が多くなった(図1).また近年,郊外部におけるバイパス道路の新設や拡幅,新たな橋の建設などのインフラ整備が進んでいる.<br> はじめに,土地利用規制や道路整備の進展状況などを整理する.続いて,各店舗の売場面積により商圏を設定し,商圏人口や高齢者比率,昼夜間人口比などの商圏特性を算出する.そして,開業年や地理的特徴と大型店の立地傾向との関連をみる.さらに,2000年に実施された「徳島広域都市圏パーソントリップ調査」および2001年に実施された「中小小売店支援のための1万人アンケート」により,消費者がどのような場所を買物先として志向しているかを示す.以上により,現在までの大型店の立地展開を明らかにするとともに,今後の大型店の立地展開について考察する.<br><br>III 徳島市とその周辺における大型店の立地展開<br> 2006年現在,研究対象地域に立地する大型店の売場面積および開業年を示したものが図2である.大店法成立前_から_成立期に立地した大型店の売場面積は比較的小さく,1店を除き立地は中心部である.大店法強化期に立地した大型店は,同じく中心部に多いものの,規模が大きなものがみられる.一方,転換・緩和期に立地した大型店は,比較的規模が小さく,郊外部に多い.ポスト大店法期に立地した大型店は,近年整備された郊外部のバイパス道路沿いに多く,なかには売場面積が10,000m2を超える総合ショッピングセンターもみられる.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205692844288
  • NII論文ID
    10020532163
  • NII書誌ID
    AA1115859X
  • DOI
    10.14866/ajg.2006f.0.64.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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