モンゴル北部山岳地域のカラマツ林斜面での蒸散量と幹生長の季節変化
書誌事項
- タイトル別名
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- Seasonal variation in transpiration and trunk growth at Larch forest slope in northern Mongolian mountain
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抄録
I.はじめにモンゴル北部の山岳地域は,北から南にかけて森林から草原へと移り変わる植生の漸移帯であると同時に,北方林の南限地域となっている.また,その山岳地域の南向き斜面に草原,北向き斜面に森林が差別的に分布している.この異なる植物分布に対応して,森林斜面には地下に永久凍土が分布する一方,草原斜面には永久凍土が認められず,その結果,暖候期の土壌表層の土壌水分量に差が現われるなど,水文気候環境も大きく異なっている.本研究では,この特徴的な植生景観を示す地域での水循環過程と,水文気候環境が植物の生育に与える影響を明らかにするため,北向き森林斜面の優占種であるカラマツ(Larix sibirica Ledeb)を対象に,Granier法による樹液流観測とデンドロメーターによる幹生長の継続観測を行ない,樹木からの蒸散量と幹生長との季節変化と、その対応関係を検討した.II.研究地域と観測方法 本研究の観測地点は,モンゴル国の首都ウランバートルの東北東約50kmに位置する,Tuul川上流のShijir川流域の北向き斜面下部のカラマツ林(標高1,640m)である.樹冠に達するカラマツ2個体に対して,Granier法による樹液流測定を2004年7月から開始した.Granier法は熱トレーサー法の一種で,樹木の通水部分(辺材)にヒーター付きの温度センサーと参照用の温度センサーを差し込み,その温度差との関係式から樹液流速を求める測定手法である.樹液流速と辺材の面積との積から樹液流量が求められ,日合計量は測定木からの日蒸散量に相当する.同時に,樹液流を測定している2個体に対し,デンドロメータ(D8;GP社製)による幹生長量の測定を行なった.また,観測地点では,自動気象観測装置による気温・湿度・風向風速・放射収支・地温・土壌水分の継続観測が行なわれている.III.結果と考察図1に2004年、2005年の降水量・土壌水分量とカラマツの樹液流量(蒸散量)と幹生長量の測定結果を示す.5月_から_10月の降水量は2004年(203mm)よりも2005年(293mm)の方が多かったにも関わらず、多降水の期間が6,7月に現れた2004年の方が、土壌水分量も多く、7月に40kg/dayを超える大きな蒸散量を示した。2005年はカラマツの展葉前から測定を開始した。5月中旬に表層40cm深までの季節凍土が融解すると,カラマツの展葉が始まり樹液流が増加した.樹液流の開始時期は,40_から_80cm深の地温が0℃以上に上昇し,それに伴う凍土の融解による土壌水分の供給が対応すると考えられる.そして,展葉が完了した6月中旬を境に樹液流速が急増し,この時期から幹生長が進行した.幹生長は日射量が年間の最大となる6月下旬から8月上旬にかけて継続して進行した。紅葉・落葉は9月下旬に進行し,同時に樹液流は急激に停止した.幹生長は10月上旬まで進行した後,それ以降の気温低下に対応して収縮する傾向を示した. 以上から、カラマツの蒸散活動には、凍土融解時期とその後の降水時期が大きく影響し、蒸散活動がピークを示す7月に幹生長が現れると考えられる。
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2006s (0), 174-174, 2006
公益社団法人 日本地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205692446208
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- NII論文ID
- 10020532491
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- NII書誌ID
- AA1115859X
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可