炭素繊維人工藻場における魚類の出現状況

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タイトル別名
  • Situation of fishes appearance in artificial grass bed of carbon fibres
  • タンソ センイ ジンコウ モバ ニ オケル ギョルイ ノ シュツゲン ジョウキョウ

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抄録

ダム湖における汎用的な外来魚駆除手法開発の一環として,愛媛県肱川上流域に位置する野村ダム湖において,2005年4月~11月にかけて炭素繊維を用いた人工藻場による魚類の蝟集状況を調査した。炭素繊維720,000本からなる全長60 cmの人工藻を3本1セットとして36セットを湖面より垂下した。期間中,人工藻場設置場所の水深はダムの水位変動と装置を取り付けた流木止めフェンスの移動に伴い3.2 m~11.9 m(平均7.9 m)の範囲で推移した。人工藻場の移動と魚類の採捕数の間に有意な相関はみられず,人工藻場の移動が魚類の採捕数に影響を及ぼした可能性は少ないと考えられた。<BR> 魚類は2目3科10種,合計46,000個体が採捕され,その99.8 %は仔稚魚および若魚であった。採捕数は0~7,400個体(平均2,000個体)の範囲で推移し,月別では7月が最も多く,10月以降はほとんど0となった。種類別ではブルーギルが最も多く出現し(個体数割合:59.9 %),次いでトウヨシノボリ(34.1 %),オイカワ(5.5 %),オオクチバス(0.4 %),その他(0.1 %)となった。これらのことから,人工藻場は天然の抽水植物帯や沈水植物帯のほとんど発達しないダム湖において,魚類の初期成育場として機能しうることが示唆された。また,優占的出現種であるブルーギルの駆除装置として本人工藻場は有効であるが,他魚種の混獲防止等検討すべき課題も残された。

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