極微量切削油供給加工法に用いるエステル油剤の実用性能と作用メカニズム

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  • Practical Performance and Action Mechanism of Ester Lubricants in Minimal Quantity Lubrication Machining

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抄録

極微量潤滑油供給(minimal quantity lubrication)による,いわゆるMQL加工は切削油の供給量が毎時数十ml 程度と,通常毎時数万ml である従来の大量切削油供給の場合に比べて極めて少ない。このため切削油の使用量を大幅に削減でき,環境に優しい製造技術の代表的成功例として注目を集めている。本論文では,MQL加工に適する切削油剤として,酸化安定性や生分解性に優れ,良好な切削性能を示す合成ポリオールエステル油剤の適用が有効であることを報告する。特に,この油剤が高い切削性能を発揮するためには,切削部において非常に少ない量で効果的な潤滑剤として働く必要があり,エステルのトライボロジー作用が極めて重要な意味をもつ。そこで,雰囲気制御型切削試験機を用いて,MQL加工におけるエステルのトライボロジー作用と切削現象との関係を調べた。その結果,鋼の切削では,酸素との共存によってエステルの鋼新生面への吸着活性が向上し,これが潤滑効果をもつ吸着膜の効率的な形成に寄与して優れた切削性能を与えることがわかった。一方,鋼の場合とは異なり,アルミニウムの切削では酸素の存在が好ましくないという興味深い知見が得られた。

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