カイコ遺伝資源の凍結保存法:カイコの生殖巣凍結保存技術の現状と応用の可能性

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  • カイコ イデン シゲン ノ トウケツ ホゾンホウ カイコ ノ セイショク ソウ トウケツ ホゾン ギジュツ ノ ゲンジョウ ト オウヨウ ノ カノウセイ

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地球上には、微生物、植物、動物など多種多様な生物が存在しています。これらは、私たちにとって有用な遺伝資源として、地球的規模で重要視されています。我が国においても有用生物の遺伝資源の収集・保存・利用が文部科学省のナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)をはじめ、多方面での収集・保存・利用が検討されています。NBRPでは2007年度より第2期が始まり、動物でマウスやラットなど9件、植物でシロイヌナズナやイネなど8件、微生物で大腸菌など3件など合計22件が採択されています。その中にカイコも第1期に続いて採択されています。液体窒素による凍結保存は、動植物の培養細胞・組織・胚などで行われてきた長年の凍結研究の成果から安全・確実である見通しがつけられてきました。ウシの精子では、20年間液体窒素に保存しても受精率にはほとんど変化がないという報告もあり、「液体窒素での保存は半永久的である」とも言われています。また、不時の事故による喪失や変異による性状変化などの危険性へのセイフティーネットとしての役目も果たしてくれます。凍結保存の技術を上手に利用することで、資源の有効活用と共に飼育にかかる経費と時間を節約することができます。凍結保存による遺伝資源の保存方法としては、精子、卵、胚、細胞など様々な発育相における方法が考えられますが、カイコの場合、雄と雌が交尾した後に産卵する受精卵の凍結保存が理想的です。しかしながら、受精卵の凍結保存は、これまで多くの研究者が試みましたが成功にいたっていません。本総説では現在まで確立している凍結精液と凍結卵巣について、保存技術の現状と将来の期待を、私たちが行ってきた研究を中心に紹介したいと思います。

Journal

  • Sanshi-Konchu Biotec

    Sanshi-Konchu Biotec 77 (1), 1_009-1_016, 2008

    The Japanese Society of Sericultural Science

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