急性心筋梗塞で入院した認知症高齢者の管理と予後‐大規模多施設研究TAMISの二次解析結果から‐

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タイトル別名
  • Differences in cardiac management and in-hospital mortality between elderly patients with and without dementia after acute myocardial infarction: findings from TAMIS data
  • 急性心筋梗塞で入院した認知症高齢者の管理と予後--大規模多施設研究TAMISの二次解析結果から
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抄録

背景:高齢社会を迎え,認知症を患う高齢患者が増加している.米国では,急性心筋梗塞において認知症患者は認知機能が正常である患者と比較して医療行為が控えられる傾向がある上,認知機能が正常である者に比べて死亡率も高いとの報告がある.しかし,わが国において認知症と急性心筋梗塞の管理および予後との関係を明らかにした先行研究はない.そこで,本研究は認知症の診断が急性心筋梗塞の管理および院内死亡率に与える影響を明らかにすることを目的に実施された.方法:TAMISは,1995年1月から1997年12月までの間に東海地区の13の急性期病院に急性心筋梗塞の診断で入院した全患者2,020人を対象とした多施設後ろ向き研究である.患者の特徴·入院中の治療·臨床経過に関するデータの収集は,医師もしくはデータ収集について一定期間のトレーニングを受けた看護師らがカルテの閲覧を行うことにより行われた.認知症の診断については医師記録もしくは看護師記録に明記されている場合に「認知症あり」とした.TAMISに登録された2,020人のうち,65歳以上の患者全員を解析対象とした.対象者を認知症の有無により2群に分け,一般的特徴·入院中の管理·臨床経過を比較検討した.結果:解析対象は,全体で1,052人(認知症22人,認知症なし1,030人)となった.認知症患者は,認知症がない患者と比べて,高齢で,日常生活機能の障害が多く,やせであった.また,認知症患者は,認知機能正常患者と比べて,狭心症の既往が少なく,脳血管障害の既往が多かった.喫煙歴は認知症患者で少なかった.臨床経過,梗塞の部位,CPK最高値には両群で差がみられなかった.血栓溶解療法やPCIなど急性心筋梗塞の管理において,実施率に両群間に差がみられなかった.また,認知症患者において院内死亡率高い傾向がみられたが,調整前後において両群間に統計学的な有意差はみられなかった.結論:カルテから推察できた認知症は,高齢急性心筋梗塞患者の管理および院内死亡に影響を与えていなかった.<br>

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