経皮内視鏡的空腸瘻造設術(PEJ)による栄養療法中に小腸重積を発症した超高齢者非結核性抗酸菌症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A 94-year-old woman with nontuberculous mycobacterium who developed small intestinal intussusception associated with a percutaneous endoscopic jejunostomy tube
  • 症例報告 経皮内視鏡的空腸瘻造設術(PEJ)による栄養療法中に小腸重積を発症した超高齢者非結核性抗酸菌症の1例
  • ショウレイ ホウコク ケイヒ ナイシキョウテキ クウチョウロウ ゾウセツジュツ PEJ ニ ヨル エイヨウ リョウホウチュウ ニ ショウチョウ ジュウセキ オ ハッショウシタ チョウコウレイシャ ヒケッカクセイ コウサンキンショウ ノ 1レイ

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抄録

今回我々は,経皮内視鏡的空腸瘻造設術(PEJ)による栄養療法を継続中に小腸重積を発症した超高齢者の一例を経験したので,虚弱高齢者の栄養療法選択の問題点についても考察を加え,報告する.症例は94歳女性.食道裂孔ヘルニア,非結核性抗酸菌症(NTM),骨粗鬆症等を基礎疾患として,誤嚥性肺炎を繰り返し,在宅医療を受けていた.2006年1月,肺炎およびNTM悪化にて当科入院し,抗菌薬,抗結核薬の投与にて症状は改善したが,低栄養による再燃を予防するため,経管栄養が必要と判断した.その際,嚥下障害,胃食道逆流,座位困難などを考慮して,経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)ではなく,PEJを施行し,在宅復帰となった.同年8月,嘔吐,発熱が出現し,誤嚥性肺炎の診断にて当科入院.肺炎は軽快したが,同年9月,水様性下痢,下腹部痛,嘔吐出現し,腹部造影CTおよび消化管造影にてPEJによる小腸重積と診断した.しかし,腸管は完全閉塞ではなかったため手術は行わず,イレウス管および胃瘻造設部からの陰圧持続吸引にて経過観察し,消化管造影にて通過障害は改善し,その後も大きな合併症なく順調に経過し,他院に転院となった.成人の腸重積は,悪性腫瘍が原因となることが多いが,本症例はPEJチューブが原因と考えられた.その機序は必ずしも明らかではないが,PEJチューブは,小腸遠位に留置され,管の動きの自由度が制限されることによる腸管のバルーンより口側への手繰りこみ現象や腸管の痙性収縮などの機序が推定される.さらに超高齢者では,小腸蠕動運動が一層低下していたことが悪化要因であった可能性が考えられる.PEJは,誤嚥予防策としても期待される経管栄養法であるが,腸管蠕動の低下した高齢者では,腸重積等の合併症もあり得るので,よく適応を吟味する必要がある.また,PEJ留置後の合併症に配慮したきめの細かい対応が必要であると考えられた.<br>

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参考文献 (18)*注記

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