地域高齢者における筋肉量の評価方法について

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  • Evaluation of the best indicator of muscle mass in community-dwelling elderly persons
  • チイキ コウレイシャ ニ オケル キンニクリョウ ノ ヒョウカ ホウホウ ニ ツイテ

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抄録

目的:高齢者における筋肉量の最適な評価方法を確立するため,筋肉量と身体機能測定項目との関連から筋肉量の測定部位と補正方法の妥当性について検討することを目的とした.方法:大都市近郊に在住し老人福祉センターを利用している高齢者398人を対象とし,bioelectrical impedance analysis(BIA法)による筋肉量の測定と身体機能の測定を実施した.筋肉量の評価方法として測定部位は四肢と全身筋肉量,補正方法は補正なしと体重補正,身長補正とした.また,高齢期における移動·歩行機能の低下は生活機能と関連することが報告されており,本研究では身体機能測定項目として歩行·移動機能を用いた.そして各々筋肉量の評価方法と身体機能測定項目との関連を解析した.結果:筋肉量はどの評価方法においても男性の方が女性よりも有意な高値を示した.男女とも四肢および全身筋肉量において補正なしの場合は年齢と有意な負の相関を認めたが,体重および身長で補正した場合,年齢と関係しなかった.体重補正した場合,男性では,四肢筋肉量は10 m障害歩行と,全身筋肉量は開眼片足立ち,階段昇降,10 m障害歩行,Timed Up & Go,課題付加Timed Up & Go,通常歩行速度と関連した.また,女性では体重補正した四肢および全身筋肉量ともに全ての身体機能測定項目と関連した.身長補正の場合は男女ともに身体機能測定項目と関連を認めなかった.結論:地域高齢者における筋肉量の評価方法として,測定部位については,男女とも全身筋肉量が身体機能測定項目と関連することより,全身筋肉量が良い指標となる.また,補正方法については,体重補正した筋肉量が身体機能測定項目との関連が強く,さらに,体重測定は簡便であることより,体重補正が有用であると考える.以上より,高齢者の客観的な健康指標として筋肉量を用いる場合には,男女別に,体重補正した全身筋肉量を指標とすることが妥当である.<br>

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