クエチアピンにより発症した糖尿病性ケトアシドーシスの1例

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タイトル別名
  • Quetiapine Induced Diabetic Ketoacidosis in Patient with Dementia
  • クエチアピン ニ ヨリ ハッショウシタ トウニョウビョウセイ ケトアシドーシス ノ 1レイ

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抄録

症例は72歳男性.アルコール性肝硬変と糖尿病の既往があり,認知症のため近医に入院し,クエチアピン100 mg/日の投与が開始された.投与開始約5カ月後に発熱が出現し,血糖666 mg/dl, HbA1c 14.0%, CRP 37.0 mg/dlと高値の上,尿中ケトン体が陽性のため,当院へ搬送された.受診時動脈血ガスでpH 7.12と低下しており,また,胸部X線写真にて肺炎像を認め,糖尿病性ケトアシドーシスおよび肺炎と診断され,入院となった.入院後はクエチアピン内服を中止とし,輸液とインスリン,抗生剤投与にて加療した.徐々に状態は改善し,血糖に関してはコントロール良好となり,最終的にインスリンを離脱することができた.クエチアピンは血糖値を上昇させる副作用があり,まれに糖尿病性昏睡や糖尿病性ケトアシドーシスを来たすことが報告されている.クエチアピンを投与する際は,定期的に血糖を測定し,これらの重篤な副作用を未然に防止することが重要である.

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 51 (6), 519-522, 2008

    一般社団法人 日本糖尿病学会

参考文献 (21)*注記

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