頸部,乳房と肺野におけるCRリニアックグラフィの処理条件の検討 ─エラー画像とその改善方法について─

  • 佐藤 洋
    厚生中央病院放射線科 国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科保健医療学専攻
  • 飯沼 一浩
    国際医療福祉大学保健学部放射線・情報科学科

書誌事項

タイトル別名
  • STUDY OF THE PROCESSING CONDITIONS OF CR LINACGRAPHY IN A NECK, A BREAST, AND A LUNG FIELD —ABOUT AN ERROR PICTURE AND ITS CORRECTIVE STRATEGY—

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抄録

リニアックグラフィによる確認写真〔以下linacgraphy(LG)LG画像〕は,照射野と周辺臓器の位置確認を行うために重要である.当病院では,CR(computed radiography)を用いてLG画像を撮影しているが,腹部と骨盤領域では良質な画像が得られるのに対し,頸部,乳房,肺野領域では,エラー画像が多く発生する現象が見られた.ここでエラー画像とは,照射野領域は適正濃度となるが,その周辺領域が情報量の少ない不明瞭な画像のことをいう.本研究では,その原因を詳細に検討するために,新しくタフウォータ段階ファントムを用いた鮮鋭度の定量評価法を開発し,最適な画像を得るための条件を求めた.<br>この鮮鋭度の定量評価法は,X線の透過特性が人体に近いタフウォータを用いた階段形構造のファントムをLGの条件で撮影し,得られたエッジ像のESF(edge spread function)から線像強度分布LSF(line spread function)を求め,その半値幅で鮮鋭度を定量的に評価する方法である.<br>CRによるLG画像の画質を左右する因子には,カセッテの内部構造,金属増感板の選択,画像処理の 3 つがあるが,エラー画像の原因は画像処理にあり,腹部,骨盤領域では比較的狭いラチチュード(富士フイルムメディカル社製FCR装置ではX線エネルギーが 4 MVの場合はAve.1.0)でよいが,頸部,乳房,肺野領域では,広いラチチュード(Ave.2.0)を使用する必要があることが分かった.頸部,乳房,肺野領域でエラー画像が発生するのは,被写体コントラストが大きいためである.これにより,エラー画像が解消できた.<br>また,画像ノイズを除去するものとして開発されたノイズ抑制処理(FNC)は,ラチチュードの設定とも関連しており,ラチチュードの狭い腹部,骨盤領域ではFNCが有効であるが,広いラチチュードの頸部,乳房,肺野領域では,FNCを使用しない場合に良好な鮮鋭度が得られることが明らかになった.

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参考文献 (13)*注記

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