CyberKnife IIにおける治療中の頭部回転に起因する照射誤差の検討

  • 井上 光広
    医療法人社団新緑会横浜サイバーナイフセンター放射線治療管理部
  • 佐藤 健吾
    医療法人社団新緑会横浜サイバーナイフセンター脳神経外科
  • 小池 泉
    横浜市立大学附属病院放射線科

書誌事項

タイトル別名
  • STUDY OF IRRADIATION ERROR WITH THE CYBERKNIFE II DUE TO HEAD ROTATION DURING TREATMENT

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抄録

【目的】CyberKnife IIは独創的な技術により,フレームレスでの定位放射線照射を可能にし,良好な治療結果を収めている.フレームレスを可能としたTLSは患者位置認識を行い,患者が動いた場合でも照射目標を追尾し,照射するシステムである.現在のバージョンでは,認識は 6D(頭尾・左右・前後の平行移動に加え,各軸に対する回転も考慮),補正は 3D(頭尾・左右・前後の平行移動)で行っている.すなわち,患者頭部の回転に対しての補正は行われていない.この場合,TLS座標系のアイソセンタより離れた腫瘍では,患者頭部の回転により照射位置がずれることになる.そのため頭部の回転に関しては閾値を設定し,閾値を超えた場合は装置が自動停止し,オペレータによって手動で角度補正される.この回転に対する閾値は各施設によって設定可能である.そこで,この回転に対する閾値内で生じる可能性のある照射誤差の検討を行ったので報告する.【方法】当院で治療が行われた50例のデータよりTLS座標系のアイソセンタから腫瘍までの距離を求めた.それをもとに頭部がすべての軸で0.5~5.0度回転した際の腫瘍の最大変位量を計算で求めた.また,頭部がすべての軸で0.5,1.0,2.0度回転した状態を擬似的に治療計画装置上に再現し,線量・線量分布の誤差を求めた.【結果】TLS座標系のアイソセンタから腫瘍までの距離は中央値で46 mm,最大で123 mmであった.TLS座標系のアイソセンタから46 mm離れた腫瘍の場合は0.5度で0.7 mm,1.0度で1.4 mm,2.0度で2.8 mm,3.0度で4.2 mm,4.0度で5.6 mm,5.0度で7.0 mmの腫瘍の変位があった.アイソセンタから123 mm離れた腫瘍の場合は0.5度で1.8 mm,1.0度で3.7mm,2.0度で7.4 mm,3.0度で11.0 mm,4.0度で14.7 mm,5.0度で18.4 mmの腫瘍の変位があった.線量・線量分布の誤差についてTLS座標系のアイソセンタから46 mm離れた腫瘍に対して,0.5度回転した場合は線量比で15%前後, 1.0度の回転で35%前後,2.0度の回転で70%前後の線量誤差が存在した.【結語】腫瘍位置・頭部の回転によっては照射誤差が大きくなることをよく理解し,頭部回転に対する閾値の設定,治療開始時のセットアップを慎重に行うことで精度の高い安全な治療が実現されるものと考える.

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参考文献 (13)*注記

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