前立腺癌の放射線生物学的な特徴(確率的アプローチ)

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  • BIOLOGICAL CHARACTERISTICS OF RADIATION THERAPY FOR PROSTATE CANCER: A STOCHASTIC APPROACH

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抄録

前立腺癌は多くの癌種と異なり,極めて増殖が遅いことが特徴的である.このため,低線量率組織内照射という独特な照射法が開発され,すぐれた治療成績を上げている.このことは,前立腺癌の放射線治療戦略を考えるうえで非常に重要な事実である.前立腺癌の治療として,外部照射単独,外部照射と高線量率組織内照射,低線量率照射と選択肢がそろったわけであるが,生物学的に同等の効果を得る線量や分割法などが明確でない.そこで本論文では,放射線の作用を確率的現象ととらえ,致死作用と亜致死損傷からの回復をLQモデルに当てはめることを解説した.さらに,この方法を分割照射,低線量率照射に当てはめる方法を解説した.分割照射の臨床成績と,低線量率照射の臨床成績からTCPにLQモデルを当てはめ,非線形回帰によって生物学的パラメーターの推定を行った.この値と,諸家の報告した値は,いずれもα/βは多くの腫瘍のα/βより小さく,正常組織の値もしくはそれより小さい可能性を示した.これらのパラメーターを参考にすれば,hypofractionationなどの治療戦略が示唆される.

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