術後に汎血球減少症と急性心筋梗塞を発症した化学療法中の胃悪性リンパ腫穿孔の1例

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タイトル別名
  • A Case of Perforation of the Gastric Malignant Lymphoma During Chemotherapy Associated with Postoperative Pancytopenia and Acute Myocardial Infarction

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抄録

症例は75歳の男性。StageIVの胃悪性リンパ腫で,生検でびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断されていた。化学療法(CHOP療法)4クール目の開始翌日に汎発性腹膜炎を呈した。胃悪性リンパ腫穿孔と診断し,手術を行った。胃底部から体上部に穿孔を伴う腫瘍を認めた。穿孔部の閉鎖は困難で,胃全摘術を行った。病理組織検査から化学療法奏効により穿孔したと推測された。術後は汎血球減少症,敗血症を呈した。術後8日目に急性心筋梗塞を発症した。左前下行枝に完全閉塞があり,ステントを留置した。さらに縫合不全と腹腔内膿瘍を形成し,排液からMRSAが検出された。保存的治療を行い,改善傾向を示したが,術後68日目に胸水が出現し,以後,悪性リンパ腫の進行により全身状態が急激に増悪した。術後76日目に死亡した。化学療法中の胃悪性リンパ腫の穿孔では,術後,白血球減少症,重症感染症に加えて心合併症も念頭におく必要がある。

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参考文献 (45)*注記

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