腫瘍口側の穿孔による汎発性腹膜炎で発症した大腸低分化腺癌の1例

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  • A Case of Poorly Differentiated Adenocarcinoma of the Colon Found Out by Generalized Peritonitis due to Colonic Perforation at the Proximal Side of the Tumor

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抄録

68歳の男性,突然の腹痛を主訴に入院した。来院時,腹部は板状硬で,血液検査では白血球8,990/μl,CRP 0.3mg/dl未満であった。腹部X線検査では遊離ガス像はみられなかった。腹部CTでは肝表面と脾臓外側の遊離ガス像,骨盤内の腹水,S状結腸の壁肥厚と周囲への糞便の漏出がみられた。大腸穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,緊急手術を行った。S状結腸癌口側の遊離穿孔で,Hartmann手術を行った。術後は呼吸不全,敗血症,創感染,脳梗塞を来したが,軽快し,術後53日目から化学療法を開始した。切除標本ではS状結腸に全周性の4型腫瘍があり,病理組織学的に低分化腺癌,ly3,v3と診断された。進行度はSS,N3,H1,P0,M1,Stage IV,根治度Cであった。術後5カ月を経過し,化学療法を継続中である。自験例では全周性腫瘍による腸管内容停滞,腸管壁の硬化による腸管内圧上昇,動脈硬化や高度の脈管・リンパ管侵襲による血行障害が穿孔に関与したと推測された。

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