超音波検診導入に向けて(2)マンモグラフィで異常所見がなく超音波のみ所見がある乳癌の特徴

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  • Characteristics of Breast Cancer Detected by Sonography and Negative by Mammography

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抄録

2000年4月より20007年3月までの7年間に手術された乳癌のうち術前MMG(二方向)かつUS検査した2,641例(全乳癌)をretrospectiveに分析し,MMGに異常所見がなくUS検査が発見の契機となった乳癌(US乳癌)の特徴を全乳癌と比較し,US検診の可能性を探った。US乳癌は202例であり,全乳癌の7.6%であった。年齢層別にみると全乳癌と比較してUS乳癌は30歳代(11.9% vs 7.5%)と40歳代(39.1% vs 26.2%)に多く,50歳代では差がなく,60歳代70歳代では少なかった。全乳癌のうち非浸潤性乳管癌が占める割合は12.4%に対し,US乳癌では32.7%であった。浸潤癌のうち各組織亜型別の割合をみてみると,通常型のうち乳頭腺管癌,硬癌では差がなく,US乳癌では充実腺管癌が少なかった(21.5% vs 8.4%)。病理組織学的な浸潤径を測定した症例でみると,浸潤径が1cm以下の症例では全乳癌は17.3%に対しUS乳癌は32.8%であり,DCISとT1を含めると全乳癌は60.0%に対しUS乳癌は88.9%であった。<br>以上よりMMGでは異常所見がないUS乳癌は若年者,非浸潤癌と腫瘍径が小さい浸潤癌が多かった。40歳代以下の若年者,高濃度乳房の早期乳癌発見のためにはUS併用は不可欠であり,集団検診におけるUSの導入には早急に費用対効果の検討が必要と思われた。

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