早期乳癌における視触診と画像診断(超音波画像,マンモグラム)との関係について‐視触診,画像診断の限界に関する検討‐

書誌事項

タイトル別名
  • Advantages and Limits of Individual Diagnostic Techniques in Detecting Early Breast Cancer
  • ―視触診,画像診断の限界に関する検討―

この論文をさがす

抄録

平成16年1月から平成18年6月の間に乳癌精検の目的で当院を受診し,乳癌と診断された158例のうち早期乳癌(T0,T1症例)78例を研究対象とした。そして,これら早期乳癌78例の視触診と画像(マンモグラム,超音波画像)の精検結果をもとに診断の限界について検討し,さらに乳癌検診の方法論についても考察を加えた。<br>1) 早期乳癌の40.1%は触診で腫瘤を触知しなかった。<br>2) T0群(腫瘤を触知できない)では,マンモグラムと超音波画像を併用することにより5mm以上の腫瘤であれば発見が可能である。しかし4mm以下では異常所見を見出すことは困難である。<br>3) 乳癌検診に対する超音波検査の導入については,腫瘤を触れないT0群と高濃度乳腺症例が主な対象となる。T0群に対する精度は,マンモグラムではfalse negative例が4/32(12.5%),超音波画像5/32例(15.6%)で大差はなく,超音波検査が特に有効との結果は得られなかった。現在多くの施設で行なわれている超音波検査のレベルでは,導入には今後多くの課題の検討が必要とされるであろう。<br>4) 腫瘤の触知できるT1,2,3群では,false negative例がマンモグラフィで4.8%,超音波画像で2.4%に見られた。視触診を省略した検診ではこれらの症例は見逃される可能性があり,視触診の併用は必要と考えられた。

収録刊行物

参考文献 (14)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ