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- 河田 了
- 大阪医科大学耳鼻咽喉科
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抄録
耳下腺手術では顔面神経の取り扱いが重要であり, 特に良性腫瘍に対する手術では, 顔面神経を安全に確実に温存することが必須である. まず顔面神経主幹を見つけて, 末梢へ追う方法が一般的である. したがって耳下腺手術において顔面神経主幹を同定するのが大きなポイントとなる. 顔面神経主幹を同定に有用な指標として, ポインター軟骨, 顎二腹筋後腹付着部, 乳様突起などがあるが, それらを同定するまで, 筋膜の沿った正しい層で極力出血をさせずにきれいな術野を得ることが大切である. 出血は手術操作に時間がかかることのみならず術野を汚して神経の確実な保護に不利な要素となる. ポインター軟骨, 顎二腹筋後腹, 乳様突起を指標として, さらに深部を剥離していくことになる. ここの剥離は耳下腺実質内の操作であるので, 出血を極力抑えることおよび狭い範囲を深く剥離するのではなく広く一様に剥離して深部へ迫っていくことが重要である. まもなく茎乳突孔動脈が現れるからこれを結紮すると顔面神経主幹まであと数mmである. 本術式を耳下腺良性腫瘍174例に施行したところ, 術後顔面神経麻痺を来たした症例は浅葉腫瘍では20%弱であった. 全例一時麻痺であり永久麻痺をきたした症例は一例もなかった.
収録刊行物
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- 口腔・咽頭科
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口腔・咽頭科 20 (2), 225-230, 2008
日本口腔・咽頭科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204425619584
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- NII論文ID
- 10021295410
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- NII書誌ID
- AN10235405
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- ISSN
- 18844316
- 09175105
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可