甲状軟骨形成術3型の検討

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タイトル別名
  • Vocal Pitch Lowering Surgery-Efficacy of Thyroplasty Type 3-
  • コウジョウ ナンコツ ケイセイジュツ 3ガタ ノ ケントウ
  • Vocal Pitch Lowering Surgery—Efficacy of Thyroplasty Type 3—

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抄録

甲状軟骨形成術3型(3型)は甲状軟骨の前後径を縮める術式である。その結果,声帯は弛緩し話声位(speaking fundamental frequency:SFF)のピッチは下がり,喉頭効率も改善する。<br>主な適応疾患は,声帯萎縮や変声障害でのSFF高音化に対する音声治療の無効例,声帯の過緊張が気息性嗄声の要因となっている症例などである。今回われわれは3型を施行した症例について術前後の音声と喉頭効率,術式について検討した。<br>症例は2001年から2006年までに一色クリニック・京都ボイスサージセンターにおいて3型を施行した19例である。男性17例女性2例で年齢は18~73歳(平均年齢32.6歳)であった。診断は,声帯萎縮が8例,変声障害が4例,声帯溝症が3例,声帯萎縮と声帯溝症の合併が2例,声を低くしたいという強い本人の希望と性同一性障害が各1例ずつであった。検討項目として術前術後のSFFと,2004年6月以降の10例ではAC/DC比も計測した。<br>手術は局所麻酔下に施行した。3型を両側に施行したものは10例,片側は9例であった。声帯萎縮,声門閉鎖不全がある12例には1型も併施した。<br>局所麻酔で施行しているため,全例において患者の満足のいく音声が得られた。3型はのべ29側に施行されており,軟骨断端処理法はface to faceが24側,overlappingが5側であった。face to faceの24側の平均軟骨切除幅は2.4mmであった。手術前後のSFFは両側施行例では術前平均43.0セミトーン(196.0Hz)が術後平均35.4セミトーン(127.8Hz)に,片側施行例では術前平均42.9セミトーン(198.4Hz)が術後平均37.7セミトーン(149.3Hz)に低下した。AC/DC比は術前平均36.7%,術後平均52.1%であった。<br>3型によりSFFは下がり患者の満足する音声が得られ,SFFを低下させる手術として有用であった。多くの症例でAC/DC比も改善し,3型は喉頭効率の改善にも有効であった。両側施行症例は片側施行症例よりもSFFの低下効果が大きかった。

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参考文献 (16)*注記

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