単純ヘルペスウイルス感染による咽喉頭病変

書誌事項

タイトル別名
  • Pharyngolaryngeal Lesions Caused by Herpes Simplex Virus Infection
  • 症例 単純ヘルペスウイルス感染による咽喉頭病変
  • ショウレイ タンジュン ヘルペスウイルス カンセン ニ ヨル インコウトウ ビョウヘン

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抄録

単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染により咽喉頭,とりわけ咽頭に病変を生じうることは知られているが,その臨床経過や検査所見等について詳細に検討された報告は少ない。平成16年から平成18年までの3年間に当科を受診した成人症例のうち,咽喉頭粘膜に所見を認め,ウイルス特異抗原あるいは血清抗体値の測定によってHSV感染と考えられた14例について検討した。男性7名,女性7名,平均年齢は29.9歳。内視鏡的所見にて口蓋扁桃や咽頭後壁のみならず,軟口蓋,舌根部,喉頭蓋,梨状窩,披裂部,披裂喉頭蓋襞等に広範に認められる白色の粘膜疹が特徴的であり,喉頭蓋の腫脹や声帯運動障害が認められる例もあった。口唇ヘルペスや歯肉炎等の,HSV感染として典型的とされる所見が認められた例は半数以下であった。特異抗原検査によって2型と診断されたものが2例あった。衛生環境の向上による成人における抗体保有率の低下等の要因により,本疾患は増加傾向にあると考えられている。日常臨床において遭遇する咽喉頭炎症例の中に占める割合も決して少なくないと推測され,咽喉頭の診療に際しては念頭に置く必要のあるものと考えられる。

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