<I>Aging changes of the condaction system</I>

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  • 不整脈受攻性因子としての性差と加齢  1.刺激伝導系の加齢変化

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不整脈の頻度は加齢とともに増加する.老年者の不整脈で高頻度なものは期外収縮と心房細動である.一方, 不整脈の基盤となる刺激伝導系の組織学的変化をみると, 高齢者における洞房結節では膠原線維, 細網線維および弾性線維の増加があり, 結節内とその周囲に脂肪の浸潤がみられる.著明な結節細胞の減少や結節周囲の線維症, 脂肪化は洞不全症候群 (SSS) をきたす.老年者の洞不全症候群22例 (男性8例, 女性14例; 平均78歳) の検討では半数は著明な洞結節細胞の減数を示し, 残りの半数は結節周囲の線維症や脂肪浸潤が関与していた.また房室伝導系では, 房室結節やヒス東貫通部は軽度の線維症を時にみるが, ヒス束分岐部, 左脚後枝は中等度の線維症を示すことが多く, 右脚にも線維症をみる.老年者の高度ないし完全房室ブロック35例 (男性17例, 女性18例; 平均79歳) の検討では, 障害部位としては補充調律QRS幅の正常群ではヒス束貫通部や分岐部内の障害が目立ち, 補充調律QRS幅の広い群ではヒス束分岐部や左右脚の線維症によるものが多かった.最もよく心臓の加齢変化と性差を示している僧帽弁輪石灰化 (MAC) は高齢女性に有意に高頻度で, これが心室中隔頂上部や中心線維体に及ぶと房室結節やヒス束を圧迫して高度の房室ブロックをきたすことがある.MACを合併した高度ないし完全房室ブロック12例 (男性4例, 女性8例; 平均86歳) につき刺激伝導系の組織学的検討を行った.その半数がMACによる房室プロックで, それらの伝導系障害部位はヒス束貫通部であった.またMACによる伝導障害と対比するために石灰化大動脈弁狭窄症 (Calc AS) 10例 (男性5例, 女性5例; 平均80歳) で刺激伝導系所見を検討した.このうち4例に高度ないし完全房室プロックがみられたが, 2例はヒス束 (貫通部と分岐部とも) と両脚の高度線維症, ほかの2例はヒス束分岐部と両脚の高度線維化を示した.なお4例中3例は, 大動脈弁バルサルバ洞底部から心室中隔頂上部にまで伸びた巨大石灰化による伝導系組織への圧排が原因であった.

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