トリソミー8を含む複雑な染色体異常を有した慢性好酸球性白血病

書誌事項

タイトル別名
  • Chronic eosinophilic leukemia with complex karyotypic abnormalities including trisomy 8
  • 症例報告 トリソミー8を含む複雑な染色体異常を有した慢性好酸球性白血病
  • ショウレイ ホウコク トリソミー 8 オ フクム フクザツナ センショクタイ イジョウ オ ユウシタ マンセイ コウサンキュウセイ ハッケツビョウ

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抄録

症例は61歳男性。発熱のため前医を受診し,好酸球増多を指摘され,当科受診となった。骨髄検査では芽球の増加を伴う好酸球増多と,トリソミー8を含む複雑なクローン性の染色体異常を認め,慢性好酸球性白血病(CEL)と診断した。RT-PCR法ではFIP1L1-PDGFRA融合遺伝子は陰性であった。診断時には明らかな臓器障害を認めなかったが,約4ヶ月後,右肺に腫瘤影,全身に皮下腫瘤が多発性に出現し,いずれも急速に進行増悪し,末梢血の芽球の著増も認めた。トリソミー8を伴うCEL は急性白血病への移行や髄外腫瘤の形成を伴いやすい事が報告されているが,本例では複雑な染色体異常を伴い,特に急激な病状の進行が認められた。チロシンキナーゼの恒常的活性化をもたらす既知の変異以外の染色体異常を伴うCELに関しても,その臨床像と分子病態を解析していくことが,CELの病因解明や,新たな疾患分類と治療法の確立に必要である。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 49 (7), 510-515, 2008

    一般社団法人 日本血液学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (15)*注記

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