食塊量の違いが嚥下時舌運動におよぼす影響

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  • The Relationship between Bolus Volume and Tongue Grooving during Swallowing
  • 前額断面における陥凹について

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抄録

嚥下時の舌前額断面における舌背正中部の陥凹の動きについては, 唾液嚥下時や水分嚥下時についての報告はなされているものの, 舌の部位を同定して陥凹形態の変化を分析した報告は非常に少ない.本研究は, 食塊量の違いが舌の陥凹の動きに及ぼす影響を知ることを目的に, 舌の前方, 中央, 後方の3部位の陥凹形態と食塊量との関連について検討した.対象は, 正常咬合を有する19歳~31歳までの健常成人12名である.被験食品は市販のヨーグルトの2gと5g量を用いた.超音波前額断描出法で嚥下時の舌の動きを描出し, 陥凹の深度, 幅径, 時間, 形成速度, 消失速度について定量的に解析を行い, 以下のような結果を得た.1) 食塊量の増加に伴う陥凹の部位別平均値において, 有意に増加していたのは, 陥凹深度の3D部, 5D部, 6D部と陥凹幅径の5D部, 6D部および陥凹時間の3D部, 5D部であった.2) 3D部, 5D部, 6D部における陥凹深度, 陥凹幅径, 陥凹時間, 陥凹形成速度, 陥凹消失速度のいずれにおいても2g嚥下時と5g嚥下時ともに各部位間の値に有意差は認められなかった.3) 食塊量の増加に伴う陥凹形成速度の変化では, 各部位ともほとんど変化はみられず, 陥凹消失速度は5D部, 6D部に増加がみられたものの有意差はなかった.形成速度と消失速度との比較では, 2g嚥下時と5g嚥下時ともに3D部, 5D部, 6D部のすべてにおいて形成速度より消失速度の方が有意に速かった.4) 各被験者別にみると, 食塊量の増加に対して陥凹深度を増加させている者が一番多かった.また陥凹深度, 幅径, 時間, 形成速度, 消失速度の5要因の内4要因を変化させて対応していた者が半数を占めた.

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