エチレフリン投与後にプロポフォールを用いた全静脈麻酔からの覚醒徴候を呈した1症例

  • 城山 和久
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター麻酔科
  • 酒井 明彦
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター麻酔科
  • 三木 智章
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター麻酔科
  • 田嶋 実
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター麻酔科
  • 小林 雅子
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター麻酔科
  • 森脇 克行
    国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター麻酔科

書誌事項

タイトル別名
  • Arousal Reaction after Intravenous Injection of Etilefrine during Total Intravenous Anesthesia with Propofol

この論文をさがす

抄録

  症例は38歳の女性で, 統合失調症に対し複数の治療薬を内服していた. 乳房切断術後2日目に術後出血に対する止血術を受けた. プロポフォールを用いた全静脈麻酔管理中, 出血点確認の昇圧目的でエチレフリンを8分間に計7mg投与したところ, 強い体動と開眼がみられた. エチレフリンのβ作用による心拍出量の増加は, 肝腎血流増加による代謝クリアランスの増加によりプロポフォールの血中濃度を一過性に低下させ, 覚醒徴候の主な原因になったと考えられた. また, 統合失調症患者では血液脳関門の機能異常のため, 通常中枢神経に作用しない薬剤が作用する傾向がある. したがって, α作用を有するエチレフリンが覚醒に関与する中枢神経のα1受容体に働き, プロポフォールの血中濃度低下による覚醒徴候を助長した可能性が推察された.

収録刊行物

参考文献 (24)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ