VanB型‐バンコマイシン耐性腸球菌による局地的流行伝播の早期発見と拡散防止対策の有効性について

書誌事項

タイトル別名
  • Early Recognition and Control Strategy of the Epidemic Transmission Due to VanB Type Vancomycin-resistant Enterococcus faecium
  • VanBガタ バンコマイシン タイセイ チョウキュウキン ニ ヨル キョクチテキ リュウコウ デンパ ノ ソウキ ハッケン ト カクサン ボウシ タイサク ノ ユウコウセイ ニ ツイテ

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抄録

平成17年5月に当院において, バンコマイシン (VCM) の最小発育阻止濃度 (MIC) が培養後24時間では4μg/mLであるが, 48時間後では16μg/mLを示す腸球菌が入院患者1名の中間尿より検出された. この株は遺伝子検査でVanB型バンコマイシン耐性腸球菌 (vancomycin-resistant Enterococcusfaecium;VRE) と確定された. 我々は, 微生物検査室からこの報告を受けた時点で潜在的なVRE伝播拡散の可能性を想定し, 対応計画の立案, 実施を開始し, 同室患者1名及び初発患者と同時期に入院していた患者91名にVREスクリーニングを実施した.その結果, 同病棟内で新たに4名の患者の尿または便から同様の耐性パターンを示すVREが検出され, VREの局地的流行伝播が起こったと判断した. 以後, VRE拡散防止計画に基づいた予防策を迅速に実施し, 局地的流行伝播を早期に終息させることができた.<BR>本例はMicroScan WalkAwayで薬剤感受性検査を行うブドウ球菌属菌株及び腸球菌属菌株について, VCMの薬剤感受性を通常の判定法に加えて, 48時間後にも判定を行うことにより, 常法では検出されないVCM低感受性菌を検出し, 微生物検査室と感染対策室が密接な連携を図り, 更に医療安全管理室と協働して病院全体で適切な感染対策に取り組んだ結果, アウトブレイクへ進展する前に, 新たなVREの伝播を防止することができた事例である.

収録刊行物

  • 環境感染

    環境感染 22 (3), 203-210, 2007

    日本環境感染学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (17)*注記

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