乳癌との鑑別が困難であった乳房腺筋上皮腫の1例

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タイトル別名
  • A Case of Adenomyoepithelioma of the Breast with Difficulty in Diagnosis

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抄録

乳房腺筋上皮腫は腺上皮細胞と筋上皮細胞が増殖して,腫瘤を形成する稀な疾患である。術前診断が困難と言われており,今回われわれは乳癌と診断し手術を施行した症例を経験したので報告する。患者は63歳の女性,乳癌検診にて異常を指摘され,精査加療目的に当院紹介となった。左乳房C領域に径1.5cm大の弾性硬,不整形で境界不明瞭な腫瘤を認めた。腋窩リンパ節腫大やDelleは認めなかったが,Dimplingを認めた。マンモグラフィーにてカテゴリー4,エコーでは前方境界線の断裂を伴う不整な低エコー腫瘤として描出された。穿刺吸引細胞診においてもmalignantと診断され,左乳癌の診断のもと乳房温存手術とセンチネルリンパ節生検を施行した。病理組織所見では腺上皮細胞と筋上皮細胞が増殖しており,核異型や分裂像,浸潤像もなく良性の腺筋上皮腫と診断した。術後30カ月現在,再発兆候なく経過観察中である。

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参考文献 (18)*注記

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