鼠径ヘルニアの手術を契機に診断しえた腎細胞癌の1例

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  • A Case of Renal Cell Carcinoma Diagnosed after Inguinal Hernia Surgery

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抄録

鼠径ヘルニア内に腫瘍が存在するヘルニア嚢腫瘍は比較的稀である.今回われわれは鼠径ヘルニア嚢に転移した腎癌の1例を経験したので報告する.症例は89歳,男性.1年前から右鼠径部の膨隆があり外来受診.右鼠径ヘルニアの診断で平成19年3月に手術施行.ヘルニア内容は大網に連続した80mm大の充実性腫瘍であった.腫瘍およびヘルニア嚢を切除しメッシュプラグによる根治術を施行した.病理組織学的検査で腎細胞癌の転移との診断を得た.術後に施行したCTでは左腎に50mm大の腫瘍および全身のリンパ節腫大,腹水と腹膜濃度上昇が認められ左腎癌の全身リンパ節転移・癌性腹膜炎と診断した.Stage IVの腎癌であったが本人・家族は癌に対する治療は希望せず,手術から3カ月後に原疾患にて永眠した.ヘルニア嚢および内容物が肉眼的に通常と異なる際には病理組織学的検査が必要であると再認識した.

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