Ｃ型慢性肝炎に対するインターフェロン著効１３年後に肝組織中ウイルス陰性の状態から発症した肝細胞癌の１例

• 矢倉 道泰

  独立行政法人国立病院機構東京病院消化器科

• 田中 晃久

  独立行政法人国立病院機構東京病院消化器科

• 上司 裕史

  独立行政法人国立病院機構東京病院消化器科

書誌事項

タイトル別名

• A case of hepatocellular carcinoma who cleared hepatitis C virus with interferon therapy 13 years ago
• 症例報告 C型慢性肝炎に対するインターフェロン著効13年後に肝組織中ウイルス陰性の状態から発症した肝細胞癌の1例
• ショウレイ ホウコク Cガタ マンセイ カンエン ニ タイスル インターフェロン チョコウ 13ネンゴ ニ カン ソシキ チュウ ウイルス インセイ ノ ジョウタイ カラ ハッショウ シタ カン サイボウガン ノ 1レイ

抄録

C型慢性肝炎に対するインターフェロン投与で著効になったにもかかわらず13年後に発癌し，しかもその肝組織中のHCV RNAプラス鎖，マイナス鎖を調べた結果，いずれも検出されなかった1例を経験したので報告する．症例は75歳の男性で1994年よりC型慢性肝炎で当院に通院していた．肝生検ではF1A1であった.HCVはgenotypeIIa.IFNα2aを24週間投与し著効になった．<br> 以後半年に一回，採血と腹部超音波検査を行っていたところ2007年8月，S8に直径15 mmのhypoechoic tumorが見つかった．腹部血管造影で腫瘍膿染像を認めCT-APで同部は陰影欠損像となり，PIVKAII 103 mAU/mlと高値のため肝細胞癌と診断しラジオ波焼灼療法を施行した.PIVKAIIは2カ月後から現在まで正常化している.2008年2月1日に非癌部の肝生検を施行した結果，F1A0で肝組織中のHCV RNAプラス鎖，マイナス鎖を調べたが陰性，HCV抗体価は1993年100.0，2005年18.2，2007年16.2と低下，肝組織中のHBs抗原,HBc抗原を酵素抗体法で染色されず，肝組織液中のHBV DNAもreal time PCR法で陰性であった．著効後に発癌する例はこれまでにも報告されているがIFN投与から発癌までの期間は本例の13年が最長であり，発癌時の肝組織中のHCV RNAプラス鎖，マイナス鎖を調べた報告はない.以上より発癌の危険因子としてHBVの関与は完全に否定できないものの，HCVや進行した線維化，飲酒歴はなく男性で高齢という因子のみが関係したものと推測された．著効後の発癌の病因に関しては今後も検討すべき課題と思われる.<br>

収録刊行物

• 肝臓

  肝臓 50 (5), 238-243, 2009

  一般社団法人　日本肝臓学会

キーワード

• C型慢性肝炎
• インターフェロン
• 著効
• HCV RNAプラス鎖
• マイナス鎖
• 肝細胞癌

詳細情報

• CRID: 1390001204794896128
• NII論文ID: 10024805160
• NII書誌ID: AN00047770
• DOI: 10.2957/kanzo.50.238
• ISSN: 18813593
• ISSN: 04514203
• NDL書誌ID: 10229891
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I10229891
• Web Site: http://www.jstage.jst.go.jp/article/kanzo/50/5/50_5_238/_pdf
• Web Site: https://search.jamas.or.jp/link/ui/2009200617
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • NDL
  • Crossref
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可