著明な腸管気腫を伴った肝内肝外門脈ガス血症の1例

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  • A CASE OF INTRAHEPATIC AND EXTRAHEPATIC PORTAL VENOUS GAS WITH EXTREME PNEUMATOSIS CYSTOIDES INTESTINALIS

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抄録

症例は88歳,女性.コーヒー残渣様の嘔吐と粘血便を主訴に紹介受診となった.腹部レントゲンでは小腸ガスの拡張と下行結腸の気腫像を認めた.腹部CTにて著明な肝内肝外門脈ガス血症を認めた.救急室で血圧は60mmHg前後まで低下し,ショック状態を呈していたため,緊急開腹は困難と考え,イレウス管留置の上,保存的加療とした.その他2例の高齢女性に入院中に発症した門脈ガス血症を経験したが,いずれも保存的に軽快した.門脈ガス血症は腸管壊死に起因することが多く,緊急手術の対象となることが多いとされている.だが最近では,ウイルス性腸炎を起因とすることが多いことも知られ,現在では必ずしもすべての症例で緊急開腹が必要であるとは考えられていない.本症例では画像上,腸管壊死を考えるほど強い腸炎に起因した腸管気腫に門脈ガス血症を伴った症例であったが,保存的に加療することが可能であった.

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