漢方医学的腹診学習用シミュレータに対する学習者の評価

  • 矢久保 修嗣
    日本大学医学部内科学系統合和漢医薬学分野
  • 木下 優子
    日本大学医学部内科学系統合和漢医薬学分野
  • 太田 浩
    (社)発明協会地方振興グループ出願適正化推進チーム

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of a simulator for teaching clinicians abdominal palpation in the kampo style
  • カンポウ イガクテキ フクシン ガクシュウヨウ シミュレータ ニ タイスル ガクシュウシャ ノ ヒョウカ

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抄録

漢方医学には腹診という日本独特の診断法が存在している.これは,患者の腹部を医師が触診したときに得られる腹部所見である腹証を得るために行われる.この腹診の習慣には困難が伴うため,これを学ぶための腹診学習用シミュレータの作成を行ってきた.これは心下痞こう,胸脇苦満,腹直筋弯急,小腹硬満,小腹不仁,心下部振水音などの所見をもつ6個の腹部模型である.<br>1) 医師を対象とする漢方医学の講演会など腹診学習の現場において,我々はこのシミュレータを実際に使用し,これに対する参加者の意見や感想をまとめた.<br>2) 漢方医学の関心や腹診の理解,腹診学習用シミュレータに関して無記名のアンケート調査を行い,回収ができた講演会の参加者149名分を対象とした.<br>3) 参加した多くの医師は漢方医学に対して関心をもち,漢方医学の臨床における意義を認めている.しかし,腹診を知らないという医師が23.5%に存在した.<br>4) 本シミュレータを使用した講演による腹診に対する理解については,たいへんによく理解ができた,あるいはよく理解ができたという答えが58.4%にみられた.<br>5) アンケート調査結果からは本シミュレータの改良すべき課題も指摘されたが,腹診を学ぶ際にはシミュレータの使用は有用と考えられた.

収録刊行物

  • 医学教育

    医学教育 40 (1), 55-60, 2009

    日本医学教育学会

参考文献 (14)*注記

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