腹膜炎で発症し,大腸内視鏡検査にて地割れ潰瘍を呈したランソプラゾール関連膠原線維性大腸炎の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Lansoprazole-associated Collagenous Colitis with Peritonitis Accompanying Endoscopically Fractured Colon

この論文をさがす

抄録

症例は82歳女性で主訴は疝痛.普段から便秘がちで少量の下剤を常用していた.原因薬剤のランソプラゾール服用開始6カ月目の2008年10月臍中心に疝痛を催した.上腹部に腹膜刺激症状を認めた.腹部CT検査で横行結腸中央から脾弯曲にかけて壁肥厚を認め周囲の脂肪織の濃度上昇をともなっていた.大腸内視鏡検査では横行結腸中央から脾弯曲にかけて約10cm長の縦走潰瘍を2条,10cm程の間隔を置いて認めた.潰瘍の辺縁は明瞭であり周囲粘膜には異常を認めなかった.いわゆるfractured colonと称する形態であった.入院後腹膜炎症状は2∼3日で軽快した.3カ月後の大腸内視鏡検査では前回認めた横行結腸の縦走潰瘍はいずれも癒痕化し襞集中をともなっていた.生検標本の病理学的検査にて膠原線維性大腸炎と確診した.ランソプラゾール関連膠原線維性大腸炎では大腸内視鏡検査で縦走潰瘍が特徴とされる.この縦走潰瘍は欧米の文献上fractured colonと呼称されているが,印象に残る邦訳として本論文にて地割れ潰瘍の名称を提唱したい.腹膜炎を併発した膠原線維性大腸炎の報告は本邦ではなく欧米でも13例しかなかったが,今後膠原線維性大腸炎は急性腹症の一つとして認識しておく必要がある.<br>

収録刊行物

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

参考文献 (39)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ