重症肝炎における劇症化予知式に基づいた早期抗ウイルス・抗免疫療法の有効性の検証

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  • Validation of the Efficacy of Early Anti-viral, Anti-immune Therapy Based on Yoshiba's Prediction Score for Fluminant Hepatie Failure in Patients with Severe Hepatitis

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抄録

劇症肝炎(特に亜急性型)の救命率の向上には,劇症化の予知と早期治療が必要であることが報告されてきたが,劇症化予知式は特異度が良好ではないという問題点も指摘された。そこでわれわれは,与芝らの劇症化予知式陽性の重症肝炎18例の予後を劇症肝炎6例と比較し,予知陽性例に対する早期抗ウイルス(IFN,核酸アナログ)・抗免疫(ステロイドパルス,サイクロスポリン)療法の有効性を決断分析により評価した。また,重症肝炎発生の高危険群である化学療法やステロイド療法を施行予定のHBVキャリア19例に対して,予防的核酸アナログ(ラミブジン,エンテカビル)療法の有効性を検討した。その結果,予知式陽性重症肝炎の救命率は83%(15/18)であり,劇症肝炎の33%(2/6)に比し有意(P<0.05)に高率であった。予知例の死亡3例は感染症死で肝不全死はなかった。決断分析では予知式の特異性を考慮に入れても予知し,早期治療を行った方が経過観察に比し予後良好と推測された。一方,化学療法・ステロイド療法の施行前から核酸アナログを予防的に開始されたHBVキャリア19例では,全例,肝障害は発生しなかった。以上より,劇症肝炎は,予知・予防治療により予防可能であり,与芝の予知式は早期治療の根拠として妥当と考えられた。

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