BT型の皮膚病理組織所見を呈し境界反応を伴ったハンセン病の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Leprosy with Reversal Reaction with Borderline Tuberculoid Type-Histologic Features
  • BTガタ ノ ヒフ ビョウリ ソシキ ショケン オ テイシ キョウカイ ハンノウ オ トモナッタ ハンセンビョウ ノ 1レイ

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抄録

患者は28歳インドネシア人男性.6年前から左前腕尺側に皮疹と知覚障害が出現し,インドネシアで皮膚生検を行うも診断がつかなかった.1カ月前から左小指に知覚過敏を伴う疼痛が出現したため,当科を受診した.左前腕尺側に乾燥した色素斑と脱色素斑を認め,左小指に軽度の腫脹を伴った.左上腕には尺骨神経の肥厚,圧痛を認めた.また左足内側に知覚障害を伴う淡紅色斑を認めた.左前腕皮疹の病理組織所見は,神経線維の破壊と神経周囲の類上皮細胞性肉芽腫を認め,Fite染色陽性であった.皮膚スメア検査は陰性で,凍結皮膚組織検体,スメアで使用したメス刃検体のPCR検査は陽性であった.以上からBT(borderline tuberculoid)型皮膚病理組織所見を呈したハンセン病と考えた.治療はWHO/multidrug therapy(MDT)を施行し,境界反応を生じていたため,プレドニゾロン(PSL)を併用した.その後ダプソン(DDS)耐性菌であることが判明し,オフロキサシン(OFLX)も追加した.ハンセン病は近年本邦では稀であるが,神経障害を最小限にするために,皮膚科医による早期診断と適切な治療が重要である.また主病変は真皮・皮下組織境界部にあるため,ハンセン病の皮膚生検は皮下組織まで深く行う必要がある.

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参考文献 (13)*注記

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