後腹膜血腫を契機に診断された後天性血友病Aの1例

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タイトル別名
  • A case of acquired hemophilia A associated with retroperitoneal hematoma

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抄録

症例は75歳,男性。失神を主訴に当院へ救急搬送された。出血性ショックを呈し,CTで後腹膜血腫をみとめた。プロトロンビン時間(prothrombin time, PT)27%,PT-international normalized ratio(PT-INR)2.09,活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time, APTT)66.7秒であった。APTT交差混合試験で,延長したAPTTが補正されず,後天性血友病Aを疑った。遺伝子組換え活性型血液凝固第VII因子,ステロイド,シクロスポリンが凝固異常の補正に奏効した。第VIII因子活性が1%未満,第VIII因子インヒビターが222.7ベセスダ単位(Bethesda unit, BU)·ml−1であることが後日判明した。後天性血友病Aは稀であるが,重篤な出血を来たす疾患であり,APTTが延長した症例では,本症をも考慮すべきである。止血治療,免疫抑制療法とともに,感染症管理が重要である。

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