インフルエンザ脳症の病態解析と治療戦略 Pathophysiology and Therapeutic Strategy of Influenza-associated Encephalopathy

    • 市山 高志 ICHIYAMA Takashi
    • 山口大学大学院医学系研究科小児科学分野 Department of Pediatrics, Yamaguchi University Graduate School of Medicine

抄録

「インフルエンザ脳症」は約10年前に疾患概念が提唱された比較的新しい病気である.本疾患は「インフルエンザの経過中に急性発症する意識障害を主徴とする症候群」と定義される.剖検脳では,著明な脳浮腫を認めるものの,炎症細胞浸潤やインフルエンザウイルスはみられない.従ってインフルエンザ脳炎ではなく,「インフルエンザ脳症」と命名された.当時は死亡率30%,後遺症率25%という極めて予後不良であった.その後の研究で,本疾患の病態に高サイトカイン血症が関与し,末梢血単核球の転写因子NF-κB活性化が明らかになった.抗サイトカイン療法としてステロイドパルス療法および免疫グロブリン大量療法が提唱され,普及した現在は死亡率10%弱に低下した.しかしインフルエンザ脳症の病態は単一でないことが明らかになり,現在は高サイトカイン血症が病態の中心でない「けいれん重積型脳症」といわれるタイプが,高率に神経学的後遺症を残すことから問題となっている.このタイプの病態は長時間のけいれんによる神経細胞に対する興奮毒性が主と考えられている.従って,ステロイドパルス療法や免疫グロブリン大量療法は有効でなく,なんらかの脳保護的治療が模索されている.しかし,現時点で有効性が証明された治療法はなく,効果的な治療法開発が今後の課題である.

収録刊行物

山口医学  

山口医学 59(1), 5-8, 2010-02-28 

山口大学医学会

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各種コード

  • NII論文ID(NAID) :
    10025981617
  • NII書誌ID(NCID) :
    AN00243156
  • 本文言語コード :
    JPN
  • 資料種別 :
    REV
  • 雑誌種別 :
    大学紀要
  • ISSN :
    05131731
  • NDL 記事登録ID :
    10628506
  • NDL 雑誌分類 :
    ZS7(科学技術--医学)
  • NDL 請求記号 :
    Z19-417
  • 収録DB :
    CJP書誌  CJP引用  NDL  IR