高分子溶液および分散液の乾燥過程における結晶化,自己組織化

書誌事項

タイトル別名
  • Crystallization and Self-Organization during Dryness of Polymer Solutions and Suspensions
  • コウブンシ ヨウエキ オヨビ ブンサンエキ ノ カンソウ カテイ ニ オケル ケッショウカ ジコ ソシキカ

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抄録

高分子溶液をはじめとする各種の溶液やコロイド分散液をカバーガラス上や時計皿,シャーレ中などで乾燥する過程で発現する対流,沈降,乾燥散逸構造を総括的に考察した.対流パターンの成長過程を 7 過程に整理した.最初は不規則な循環(irregular circulation)であり上向きの熱移送(heat transportation)を伴う.ついで,液表面を中心から外部へのグローバルな流れ,変形べナールセル(distorted Benard cell)の協奏的な生成,グローバルな対流の反転,液部最外殻からのスポーク線(spoke line)の生成,そしてスポーク線の中心部への成長とさらにはクラスターとそれらのバンドルの生成である.そして最後にはいつも生じるとは限らないが,ピニング効果(pinning effect)による対流が生じる.沈降パターンは主に異方形状のコロイド分散液で観察される.対流過程と固化乾燥過程の中間過程で観察される.高分子溶液等においても液中での溶質間の構造形成を通して沈降パターンは発現しているが多くの場合には目視観察は不可能である.溶液,分散液を問わずマクロな乾燥パターンの代表例はブロードリング(broad ring)とスポーク線とである.ミクロな乾燥パターンの代表例は星状,針状,街路状,糸状,十字状など多彩である.ミクロ構造からマクロ構造に至る階層構造が形成されている.また,液状での高分子や粒子の大きさや形態(conformation)そして柔軟さ(flexibility),溶質濃度などの情報(information)が乾燥パターンに増幅(amplification)や選択(selection)過程を伴いながら伝達(transfer)されることが判明した.<br>

収録刊行物

  • 高分子論文集

    高分子論文集 66 (12), 562-569, 2009

    公益社団法人 高分子学会

参考文献 (88)*注記

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