塩酸セベラマー内服量が血液透析患者の酸塩基平衡に及ぼす影響―クエン酸透析液使用でも,代謝性アシドーシスを悪化させるか?―

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タイトル別名
  • The effects of sevelamer hydrochloride on metabolic acidosis in hemodialysis patients with citrate dialysate
  • エンサン セベラマー ナイフクリョウ ガ ケツエキ トウセキ カンジャ ノ サンエンキ ヘイコウ ニ オヨボス エイキョウ クエンサン トウセキエキ シヨウ デモ タイシャセイ アシドーシス オ アッカ サセル カ
  • ―クエン酸透析液使用でも,代謝性アシドーシスを悪化させるか?―

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抄録

血液透析患者の代謝性アシドーシス状態は入院の危険性や生命予後の悪化につながることが報告されているが,従来の透析液で塩酸セベラマー(SH)を使用すると代謝性アシドーシス(MA)が悪化することが知られている.そこで重炭酸を多く含むクエン酸透析液(カーボスター®)を使用した際のSHとMAの関係を検討した.(1) 患者をP吸着剤内服の有無により4群に分け(C群:沈降炭酸カルシウムのみを内服,C+S群:SHと併用,S群:SHのみ内服,N群:P吸着剤なし),P吸着剤の有無・種類とMAの関連について,(2) SH1日内服量とMAの関連について,それぞれ横断研究を行い検討した.結果:(1) 透析前HCO3はN群,C群においてK/DOQIガイドラインを満たしたが,C+S群(20.6±2.9:p=0.003),S群(21.2±3.2:p=0.02)において有意に低下しガイドラインを達成できなかった.KはC+S群(p<0.0001),S群(p<0.0001)で,ClはS群(0.028)で,Anion GapはC+S群(0.023)で有意に上昇した.総コレステロールはSH群において有意に低下(N vs. C+S:p=0.001,N vs. S:p=0.004)した.(2) SHの内服容量の増加とともにpH,HCO3,BEは低下し,有意な負の相関関係(pH:p=0.004.HCO3:p<0.0001,BE:p<0.0001)を示した.電解質では,K(p<0.0001),Cl(p=0.0003),Anion Gap(p=0.01)で,有意な正の相関関係を示した.カーボスター®使用にもかかわらず,SHの内服量増加に伴ってMAは悪化することが示された.高P血症治療時には,SHによるMA悪化に充分留意する必要があり,わが国でも炭酸セベラマーのようなMAを悪化させないP吸着剤の開発が切望される.

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参考文献 (35)*注記

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