浸潤様式4D型口腔扁平上皮癌の生物学的性状

  • 山本 悦秀
    金沢大学大学院医学系研究科がん医科学専攻がん細胞学講座細胞浸潤学分野(歯科口腔外科)
  • 川尻 秀一
    金沢大学大学院医学系研究科がん医科学専攻がん細胞学講座細胞浸潤学分野(歯科口腔外科)
  • 加藤 広禄
    金沢大学大学院医学系研究科がん医科学専攻がん細胞学講座細胞浸潤学分野(歯科口腔外科)
  • 吉澤 邦夫
    金沢大学大学院医学系研究科がん医科学専攻がん細胞学講座細胞浸潤学分野(歯科口腔外科)
  • 野口 夏代
    金沢大学大学院医学系研究科がん医科学専攻がん細胞学講座細胞浸潤学分野(歯科口腔外科)
  • 北原 寛子
    金沢大学大学院医学系研究科がん医科学専攻がん細胞学講座細胞浸潤学分野(歯科口腔外科)

書誌事項

タイトル別名
  • Biological characteristics of the most invasive squamous cell carcinoma (Grade 4D) of the oral cavity
  • 浸潤様式4D型口腔扁平上皮癌の生物学的性状―4C型からの移行のない独立した浸潤形態―
  • ―4C型からの移行のない独立した浸潤形態―

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抄録

頭頸部扁平上皮癌における組織学的浸潤様式分類は1973年にJakobssonらによって初めて提案された。その4型を呈する口腔扁平上皮癌は1983年,我々によって索状胞巣を形成して浸潤する4C型(cord-like type)と細胞単位でび漫性に浸潤する4D型(diffuse, widespread type)に改定・細分類された。以来,今日まで,浸潤様式に関する臨床病理学的,免疫組織化学的ならびに実験的研究が行われてきた。その結果,浸潤様式4C型と比較しての4D型特有の性状は,1)最も不良な治療成績,2)細胞単位の浸潤組織像に相応する細胞接着分子の消失,3)組織学的にスキルス胃癌に似た強い線維形成,4)in vitroでの強い運動能,5)コラーゲンゲルを用いたin vitro浸潤モデルにおいて,線維芽細胞を含まないゲルでも観察される特有のびまん浸潤像,6)実験誘発舌癌では4C型までの浸潤像形成に留まり,4D型は形成されなかったこと,そして,7)正所性移植によるin vivo浸潤モデルで3,4C型における固有の浸潤性と対照的な非浸潤性等,であった。以上の結果より,4D型は他のどの型とも独立していると結論付けられ,従って,この浸潤様式細分類は妥当であることが立証された。最後に,4D型症例における臨床像と治療戦略についても言及した。

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参考文献 (184)*注記

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